船舶免許ステップUP
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1 始動
2002年10月に船舶4級の免許を取って以来、実際に操船する機会もなく1年半が過ぎてしまった。
この間、新制度に移行して、私の免許は新2級5トン限定と呼び名が変わった。この、新制度に変更されてから、免許試験は学科と実技が分離され、新2級5トン→新1級5トンは学科試験のみ、新2級5トン→新2級限定無しは実技試験のみというような具合になった。
実技試験を受けるには費用と時間がかかる(実技試験は検定料のみでも約5万円)ので、まずは学科試験を受けて新1級5トン限定にUPしようと思っていた。しかし、なかなか実行には移せず、「まあその内」「いつかやろう…」と思いつつ時間が過ぎていった。
きっかけは、2004年7月初旬に届いたヤマハ
からのダイレクトメールだった。
それによると、「国土交通省の規制緩和で、5トン限定が廃止される見込みなので、学科試験で新1級にステップUPすれば、旧1級と同等の免許になる。ただし、試験制度が変更される可能性があるので、今の内に新1級(航行区域制限無し)を取得するのがお薦め。当社のスクールなら35,800円でUP可能…云々」とあった。情報の詳細は→![]()
それならば、受験してみようかなという気になってしまった。
実際に20トンクラスの船を、外洋で操船する機会はないのかも知れないが、その資格があるということで何か心の充足感が得られるような気がして…
2 準備
試験は学科試験だけなので、ヤハマには申し訳ないが、自分で参考書と問題集を購入し、試験機関への手続きや運輸局への免許申請も自分でやることにした。
2004/7/3
まずは、参考書と問題集をネットで検索し、以下の三冊(「舵社」の本)をネットで注文した。「学科教本T」は今回の試験には不要かも知れないが、船舶関係の用語や標識を思い出すために買うことにした。(今回、初めてyahooのイーエスブックスで注文したが、送料無料、最寄りのコンビニで代引きできるのでとても便利だった。)
三冊合計3,570円(税込み)だった。
7/6
問題集が手許に届き、「さあ〜勉強だ!」と思ったら、「練習用海図○○番を使用して」という問題が…
いったい、「練習用海図○○番」ってどうやって手に入れるの????
ネットで検索したら、意外にも簡単に答えは出て、ISBN番号もある書籍だったので、またまたネットで注文した。
150番と200番で各158円(税込み)=合計316円だった。ただ、上記の本とは違って需要が少ないのか、在庫があまりないようで、日数がかなりかかりそうである。
7/10
練習用海図は入荷・発送が次週になりそうなので、取りあえず「運航(上級U)」から始めた。
テキストを読んでから、問題集をやってみたが、エンジン関連の問題なので自動車とさして変わらず、支障なくできた。
試験機関に郵送で依頼してあった試験申請用紙が届いた。
住民票を取りに行く日程も決まらず、試験の日も未定のまま。ぼんやりと8月上旬辺りにしようと考える。
7/13
練習用海図が手に入ったが、平日は忙しくなかなか腰を据えてやれないので、週末までそのままになりそうである。
7/17
海図使用問題以外は、ひととおりやり終えた。仕事が休みなので、ホームセンターへ行き、三角定規(30cm)とコンパスを買ってきた。950円と1050円だった。
7/19
いろいろと他の用事があって、やっと今日から海図問題(航海計画)に取り組んだ。出発点から、変針を2回して目的地までの距離や時速を与えられての所要時間を求める問題をやったが、全く数値が合わない(?_?)
試行錯誤の上、やっと「磁針路○○゜」と言うのは、コンパスローズの内側をそのまま使えばよいことに気づき、なんとか解答例に近い値が出るようになる。
「磁針路」=年偏差を使って修正すべき、との思いこみによって出口のない迷路の中を彷徨っていたのだった。
7/21
仕事も一段落したので、海図問題の次の課題「船位の測定」と「潮流航法」にじっくりと取り組む。
「航海計画」(全航程の距離、所要時間)を自力で理解・解答できたので、気をよくして取り組むのだが、今度は全く歯が立たない。
方位や距離を何度確認しても、解答に結びつかない。仕方がないので、解答の位置を海図に写し、逆に方位や距離を測ってみるが、何故その方位なのかが解らない。完全にお手上げ状態になり、「自力で合格するのは無理なのか?」という疑念さえも出てくる始末(>_<)
「困った時のネット頼み」とばかりに、ネットを検索する内に、「あった!!」しっかりと詳説したHPが!!
地獄で仏とはこのことで、AOKIDSさんのHPに詳しく解説されていた(^_^)
(TopページからOthersページへ行き、「プロモーション・システムの利用」の中の「海図問題のポイント」に詳しく解説されている)
7/22
見つけた上記HPの海図問題解説ページを熟読すると、自分の思いこみや、自分は知らなかったが海図問題では常識になっている事項、等々が解ってきた。
解説に基づいて解いてみると、ピッタリ解答例に合うではないか!!!!!
深い目の前の霧が、完全に消え去り、晴れ晴れとしていくのを感じた。これなら行ける!!
ただし、何問かやってみると、解き方は正しいのだが、シャープの芯の太さや、三角定規をスライドする時の微妙なブレ、更には、海図を何度も使うからとコピーしたものを使っていることから来る微妙な歪み、等々が影響して誤差が生じてしまうことが多々あった。
設問の選択肢も、微妙な数値が並んでおり、誤差0.1海里〜0.2海里程度(35cm×40cmの実際の海図上で0.7mm〜1.5mm)に収めないといけないという現実を前にすると、ちょっと…という霧がまた出てきそうな雰囲気だが、解き方が正しいのだから、後は練習して精度を上げるしかないと開き直る。
7/30
3泊4日の出張が終わり、勤務の振り替えで今日は休日。
試験会場が、(財)日本海洋レジャーセンター(試験機関)に近いこともあって、下見を兼ねて直接試験申請に行ってきた。
帰宅後、久しぶりに海図問題に取り組むと、ほぼ正解の数値どおりの解答を導き出すことができて、自信を持った。
今まで練習用に海図のコピーを使い、シャープも0.5mmだったが、今日はコピーではなく、本物の海図を使い、シャープも0.3mmに変えたのだが、それが奏功したらしい。
8/7
別の出張(2泊3日)も終わり、いよいよラストスパートという思いを持つが、なかなか集中して勉強できない。
4級の時に比べて、問題数が少ないのが原因で、同じ問題ばかり何回もやったので飽きてしまった、と言うのが本音である。
8/9
試験前日になってしまった。
海図問題は、一昨日までに2回通して解き終わったので、昨日からは、ランダムに選んだ問題を1日あたり4〜5問やってみるが、誤答無しだったのでそれ以上はやめてしまった。
他の問題は、昨日と今日で5回目の通しをやったので、これもそこまでで終了にした。
3 学科試験 →→→当日の試験問題はこちらから
8/10
集合時間の9時ちょうどに着くと、試験会場の時計は少し進んでいて、それに従って最初の説明が始まっていた。
試験会場には、1級、1級5t、1級5t(ステップアップ)、2級5t、身体検査のみ、の五種類の受験者がいた。
説明後に身体検査。番号順に呼ばれて、私は既得免許があるので視力検査のみだった。
身体検査を9時15分頃に終わると、10時15分までは自由時間。
充分に準備もしたし、合格率も高い試験だが、久しぶりの試験なので少し緊張気味で、あてもなくトイレ、休憩場等をふらふらして時間をやり過ごす。
周囲を見渡すと、皆スクールの問題集を開いていて、舵社の問題集を見ているのは私だけなので少し気後れするが、競争試験でなく、資格試験なのだからと自分に言い聞かせる。
10時30分試験開始。1級5t(ステップアップ)は試験時間70分。
問題を用紙をぱらぱらと眺めると、舵社の問題集の問題を少し変えた問題(いわゆる過去問の改題)が2問。
少し焦るが、それは後回しにして、他の見覚えある問題を解いて、心を落ち着かせる。
一通り海図と改題2問以外をやり終えてから、海図問題に取り組む。
海図は試験用200号。新品で、折り目もなく、気分良く解き始める。(事前の問題練習では、折り目に三角定規が引っ掛かって苦労した。)
問題用紙の数値、海図の緯度、経度、コンパスの方位を何度も確認しながらゆっくりと解く。
海図問題
・航海計画→航海にかかる時間を求めるものだったが、一番近い選択肢の数値と、距離にして0.2海里の差。たぶんOK。
・船位測定→苦手なレーダーによる方位と距離から、船位を求めるものだったが、求めた数値とピッタリ同じ(緯度、経度の秒までピッタリ)のがあったので、たぶんこれでOK。
・潮流航法→目標に向けての方位を求める問題。求めた方位が一番近い選択肢と002゜の差。たぶんこれだろうとは思いつつも、線を消してもう一度丁寧にやり直した。コンパスの芯を少し尖らせて、潮流の速度、船の速度を取り直してみると、選択肢の数値とピッタリ同じ。たぶんOK。
改題2問は、「これしかない!」と言う選択肢を選んだ。
早々に退出していく他の受験生を横目に、後は、時間一杯まで使って、何度も見直し。(問題を最後からやり直したり、選択肢を下から上に順に読んだり、選んだ選択肢から問題を想像してみたり…一字一句丁寧に読み直す。)
海図問題も、消さずにおいた線や点を、逆に測り直して確認した。(求める点から、逆に出発点を測り直して確信を得る。)
長年の経験から、見直しとは、答案を何度も見ることではなく、できれば最初に解いたのとは別の方法(別解)で解いてみるものだということを身に付けたので、その通りに実行する。
4 合格発表
8/11
満点の自信は無かったが、合格ラインは大丈夫だろうと思いつつ、ネットで合格を確認した。
世の中には、万が一ということもあるので、確認後ホッとする。
合格証は8/16以降に発行なので、もう一度試験機関の事務所に出掛けたり、中部運輸局で免許申請したりと言った手続きが残っているが、平日休める日を見つけて行こうと思う。
5 まとめ
思い立ってから約1月。問題集を買い求めたり、海図を買い求めたりに時間がかかり、実際に始動したのは遅かったが、問題数が少なかったので負担も少なかった。
ただ、海図問題については、AOKIDSさんのHPによる所が大きかった。このHPに出会わなければ、今回の合格は無かったと思われるだけに、AOKIDSさんには本当に感謝している。
今回は学科試験のみのチャレンジで、試験会場もバスと地下鉄で片道30〜40分程の距離だった。
4級の時は、スクールでの学科講習、及び片道60km、高速を使って行った蒲郡での実技講習、そして同じ蒲郡での学科&実技試験だった。それら比べると遙かに時間も短く、費用も安かった。
この1ヶ月は、本当に充実した1ヶ月であったと思う。チャレンジして良かったと満足している。
後は実際の船だが、息子が一人前になったら中古で買おうかな…なんて漠然と考えている。
いったい何年先のことか…(^_^;)
6 その後
8/17の午後、出張の勤務振り替えで休みだったので、(財)日本海洋レジャーセンター(試験機関)へ合格証を取りに行き、すぐその足で中部運輸局へ行き、免許申請した。
手続きは簡単で、書類を提出してから5分ほどで免許を手渡された。

旧制度で4級を取得したので、特殊免許(水上オートバイ)と特定免許(旅客輸送)も付いている。
11月1日からは、5トン限定が無くなるので、20トンまでの船舶をすべての海域で操縦できることになったが…
使う日は来るのか??