大型一種免許取得体験記
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1 きっかけ
2002年秋に、免許取得を考えた時に、船と大型一種が候補にあがった。大型は船と違って、将来の夢のためではなく、退職後または、退職前にリストラされた時の就職を有利にするために、今の内に取得しておこうというのが理由であった。
免許を取るには、二種類ある
1 県の運転免許試験場で一発試験で取る
2 自動車学校に通って取る
しかし、運転免許試験場での一発試験では永久に受からないかもしれないので、時間とお金はかかるものの、自動車学校に通って、確実に免許を取ることにした。(もう10歳若ければ、一発試験を選択したかもしれない。)
自動車学校で聞くと、普通車と違って、季節による混み具合の変動が少ないということだったので、寒くなっても練習可能なことを考慮に入れ、船を秋に取り、大型は冬場に取ることにする。
2 教習開始
2002年の暮れも押し迫った、12月21日(土)に、名鉄自動車学校(名古屋市緑区
)に入校の申し込みをした。
名鉄自動車学校は、我が家から最も近い大型を扱っている教習所であり、すべてがIDカードで自動化されており、教習の予約もインターネットやiモードでできるという便利さが売りだった。
教習費用は実技講習22時間分+検定代+諸費用で23万ぐらいで先払いだった。
入校当日は、教習のやり方や、実技講習の予約の取り方、適性検査、視力・深視力の検査でおよそ3時間ぐらいを要した。普通車や自動二輪も一緒なので、周囲は若い人ばかりで、高校生も混じっていた。たぶん、私が最年長だと思う。
入校から3日目に初めてトラックに乗る。教官から簡単な説明の後、免許証を確認して教習開始。日野自動車の6t車だが、さすがに大きい。おまけに、ハンドルやブレーキペダルも普通車よりも大きい。教本も何もないので、まずは教官が模範を示すのを助手席に乗って見ている。コースを説明してくれるが、全く憶えないまま、運転席に座って、指示通りに発進してみる。
普段は、普通車の中では大型のRV車で、しかもマニュアルシフトに乗っているので、多少はいいだろうと思っていたが、緊張したせいもあって、思うようにいかない。
教官は「なんでも体験だから。やってみることだよ。」と言ってくれたが、なんとかコースを走るだけで1時間目は終わった。
問題点
・セカンド発進をつい忘れローに入れてしまう。
・エアブレーキの感覚がつかめない。
・左折の時に、ハンドルの切り具合がわからず、大回り過ぎるか、逆に小回りして後輪が縁石に乗り上げる。
それでも、何とか次の時間から少しずつ憶え、バックの時は後輪の位置が全くわからないままにも適度な所でとまれるようになる。
そして、規定通りの8時間で第一段階を終了する。
ただし、仮免許の試験まで日にちが空いてしまうので、試験の前日に自由教習で1時間乗って仮免許試験を迎えることにした。
3 仮免許試験
試験は1月29日(水)9:30に集合だった。大型は私を含めて3人で(普通車は十数人いた)、20代の大学生と、30代の会社員の人だった。
簡単な説明と、視力検査の後、乗り場の待合室へ移動する。初対面とは言え、同じ境遇なので3人はすぐに打ち解け、いろいろな話をした。30代の会社員は免許マニアの人で、共通の話題で盛り上がった。
彼は船の免許も数年前に取り、つい最近フォークリフトの免許を取ったということだった。大型取ったら、次は大型二種をめざすようなことを言っていた。私が、牽引免許が取れる自動車学校を尋ねると、即座に最寄りの自動車学校の名を教えてくれた。
もう一人の大学生は、就職のために免許を取り、併せて危険物取り扱いの資格を取るために勉強中だということであった。
30代の会社員と私は、次は危険物取ろうかという話題で盛り上がった。彼(30代)は、宅地建物取引の資格も既にあるということだった。すごい!
試験は、大学生、30代の人、私の順番で、そのまま年齢順だった。
当日は雪がちらつくとても寒い日だったが、緊張してそれほど寒さは感じなかった。前二人が難なくコースをこなして、いよいよ私の順番が来た。
試験
自動車免許の実技試験を受けるのは、大学生の時以来20年ぶりなのでこの数年にはないほど緊張する。約20年前、自動二輪、普通仮免、普通本免と3回経験したが、とっくにその感覚なんて忘れてしまっている。
いつもの通りに落ち着いて、と心の中で思いながら、発進する。順調に走り始めるが、クランクに入った時、いつもより少し右に寄っている気がした。(以前に、左に寄せすぎて左前輪が脱輪した苦い経験から、ついつい左に寄せにくくなっていた。)
でも、気がしただけではなく、本当に右に寄ってしまっていた。だから、右に回った時左のミラーは楽々クリアしたものの、右ミラーを見ると右後輪が縁石すれすれになっていた。
ヤバイ!!と思いながらも「ひょっとしたら行けるかも?」と思い、そのまま少し左にハンドルを戻しながら進むと、あろうことか、右後輪が縁石に接触した。でも、触れたものはしゃあない、と思い、試験官にバックすることを告げ、バックしてなんとかクリアする。
その後は気を取り直し、後のコースは無難にこなし、発着所へなんとかたどりついた。
終了後、30代の人が声をかけてくれた。縁石に接触してバックしたことを告げると、「大丈夫、乗り上げたのでなければ、少し減点されるだけだから。」となぐさめてくれた。
30分後に発表。なんとか合格した。大学生と30代の人はもちろん合格だった。
4 路上教習
2月1日(土)いよいよ路上教習だ。
最初に教官から、運行前点検要領を教えてもらい、その後乗車して、自動車学校の出入り口から路上へ。視点が高いせいか、見晴らしはよいが、さすがに道路が狭く感じる。それでも勇気出して、行くしかないと決め、路上コースを走り始める。速度も一応、制限速度一杯で走る。
途中、教官が何か叫んだ!何かと思ったら、ミラーが看板に接触しそうになったらしい。自分では全然気が付かなかった。街中には、いっぱい看板や旗が道路にはみ出しているので、たいへんだ。また、右車線のダンプカーが遅いので、走行車線をそのまま行って、ダンプカーの左側を抜けようとしたら、ミラーがあたるから行くなと指導された。
自動車学校へ戻ると、まだ時間があったので、校内のコースを走るが、やはり左折の仕方のまずさを指摘された。教官の模範運転の後、何度かやってみるが、うまくいかない。う〜ん難しい!!
2月に入って二週目、土日しか乗れないのでなかなか先へ進まないが、まずまず順調にすすんだ。しかし、自動車学校で大型二種と普通二種が開講されたせいか、教習所についてから自分の車を止めようとすると駐車場が満員で、なかなか困るようになってきた。教習生の年齢層もなかなか年配の人が増えて、自分が最年長のような感覚はなくなってきた。
皆仕事のために取っているのだろうけれど、大変なのだな〜と思った。
2月も終わりがけになってきて、そろそろ終了にしたいと思いながらも、なかなか予約が取れなくなってきた。
別に、何日までに取らなければならないと言ったことはないのだが、あまり引き延ばすのも嫌なのでなんとかしたいが、どうにもならない。
2/22(土)8時間目の教習に行くと、仮免許試験の時に一緒だった30代の免許マニアの人と待合い室で会った。今日卒業検定を受けて発表待ちということであった。久しぶりに会ったので、私はのんびりとやっていることを伝え、9時間目、14時間目にある自由設定コースについて教えてもらった。
路上で、ミラーを看板に当て破損させて仮免許を取り直しになった人がいることなども教えてもらった。
まあ、私はマイペースで3月中旬頃に卒業したいという話をして別れた。
2/24(月)11時間目。路上での観察教習だった。
「観察教習」というのは、教官が運転するのを、生徒は助手席で文字どおり「観察」して自分の運転に役立てるというものである。
だから、今日は見ているだけで良いのだと気を抜いていたら、路上へ出て10分後くらいに停車。
教官から「ここで交代しましょう。」と言われて「え!…」。
「ひょっとしたらこうなるのかも?」とは思っていたが、いきなり心の準備もないままに往来の真ん中で交代とは焦った。だって、いつもは場内の外周を回ってから路上へ行くか、いきなり路上へ出て行くにしても、最初は狭い裏通りなのでゆっくり慣らしながら行くのだから。
でも、行くしかないと決意し、また前々回の教官からは「加速が不十分」と言われたので、アクセルをいつもより強く踏んで(低速ギアで引っ張りぎみに)、なんとか予定コースは無事走り終えた。
残りあと3時間で卒業検定だ。
教習終了時に「大型二種」を今申し込むと割引き制度があるがどうか?と言われたが、4月からは忙しくなるので、その気はないと答えた。
大型二種よりも、けん引免許が取りたいが、名鉄自動車学校にはないのが残念だ。
その後も予約の取りづらい状況は続き、ゆっくりと進みながらも、3月の第2週で決着を付けるべく、予約の日程を組んだ。3/8(土)に卒業検定が受けられるように、3/6、3/7に仕事を半日休んでなんとか見極め印をもらった。
ただ、また左折の寄せ方が甘いと指摘され、また、3/6の13時間目はいつもとは違う、初めて顔を会わせる教官だったが、視点が直前ばかり見過ぎだと指摘を受けた。でも、あんまり遠くを見ていると、後輪がクリアできずに、縁石にすることになるので、なかなか言われる通りには運転できない。
もう一時間余分に乗ってから、検定にしようかとも迷ったが、どうせ不合格なら一時間余分に乗ってからしか次が受けられないし、ダメもとで翌日検定を受けてみることにした。
5 卒業検定試験
今回の受験者は、私と若い兄ちゃんの二人だった。若い兄ちゃんは、卒検二回目だということだったので、私より緊張していた。
私も当然緊張していたが、ダメなら次があるさという気持ちもあって、割合気楽であった。
試験は私が一番目であった。二番目になって待たされるよりはいいかなと思い、乗車。いつものように発進。
普段よりは場内の車は少なかった。
まずは、外周を回り、最高速40km/hをメーターでピッタリ合わせる。次にもう一周してから坂道発進し、頂上で右に進路変更するのだが、右の車線に普通車の同様の車がいたので、いつもの教習のつもりで「右に普通車いますが、右に進路変更していいですか?」と聞くと「試験なんだから自分で判断せよ!」と怒られてしまった。
この日の試験官は結構威圧感のある感じの人で、若い兄ちゃんは前回と同じ試験官なのでかなりビビっていたが、そのとおりだった。
仕方なく、普通車が停止したまま動かないことを確認し「普通車が発進しないので、右に車線変更します。」と言って、右の車線へ。
坂を下り、右折し、信号を過ぎると、いつも指摘された左折。なんとか、左に寄せながらも、ミラーで確認してまあまあの感じでクリア。そして、S字。入る時も左に寄せ、慎重に縁石に当てないようにクリア。S字を出ると、右折の後また左折。この左折もよく後輪を当てるので、スピードを殺して、ミラーで左後輪をよく確認しながらクリア。
次は、左折してクランクだが、いつもより少しだけ左を余分に空け(5〜10cm程度か?)、なんとか左後輪を当てずに入り、慎重に半クラッチ使いながらクリア。クランクを出ると、左折して方向変換(いわゆる車庫入れ)、入れる場所を通り過ぎる時に、オーバーに指さし確認しアピールした後、バックしてすんなり車庫入れ完了。
方向変換(車庫入れ)から左に出て、次に右に出て、更に右折すると、踏切。だが、この右折がくせ者で、要は外周に出るのだが、左に坂道用の山があり、その山に隠れて外周の車が非常に確認しづらい。他の車が来ないと思って、頭を出すと、山の陰からふいに車が表れることがよくあり、教習ではよく指導員にブレーキを踏まれた場所だ。
はっきり言って、最後は賭でしかない。外周の車のスピードは早いので、来ないと思ってこちらが頭出して右折を始める頃に急に表れ、教官は来てるから!といってブレーキ踏む場所なのだ。
今日も、確認はするものの、最後は来たらその時だと思って、発進して右折。ミラーで後方を見ると、なんとか後続車がなく一安心。だが、踏切を渡ると、右折後信号を右折して、最後にまた同じ外周への右折がある。
踏切通過後、右折して信号交差点へ。普通車が二台来ていたので、停車したまま待つ。しかし、二台目が前を空けて止まり、普通車の教官が譲る合図。「譲られたので行きます。」と言って発進。
でも、普通車がかなり前で譲ってくれたので、こちらは出て右折して右車線へ入らなければならないのだが、そのまま行くと、右後方が普通車に当たりそう。仕方なく、冷や冷やしながらも、車線をはみ出し、大回りして抜けた。
信号で停車し、右折する時に外周の車を確認する(ちょうど信号の延長上に、坂道の山で隠れる前の外周が見える。)。外周の車がいないことを確認し、右折して外周の場所へ。
しかし、前に普通車が停車していて、自分も停車。さっき、信号右折時に確認した外周の車の情報がすべてパアーに。仕方なく、慎重に確認するが、今日はバイクが走ってきた。何台続くのかわからないが、適度な切れ目で発進右折。また、今回も賭だった。
運良く、ミラーには車の姿なし。
大きなミスもなく、発着場へ帰還。
それで、終了かな?と思ったら、検定員からのコメントがあった。
・S字通過時に直前ばかり見ていて、それでは大型車の運転はだめだ。
ボディーの位置で調整するのでなく、進路方向を見て時々ミラーを使うだけで運転できなければならない。
・シートの調整が後ろ過ぎて、左足が伸びきっても完全にクラッチが切れていない。
だから、ギヤチェンジの時にガリガリいうんだ!
と、およそこんな内容を厳しい口調で注意された。自分としては大きなミスもなく、まあまあのできだったので、少し落ち込んでしまった。
注意の二点目は、最初の外周の40Km/Hから減速し、ギアをチェンジした時に、一瞬ギアが入れにくくて入れ直したのを、見逃さない指摘であった。
6 発表
発表は11時で、検定終了からしばらく時間があったので、若い兄ちゃんと話をした。「今日は大きなミスもなく、最後に厳しいこと言われたけど大丈夫かな?」と私が言うと、若い兄ちゃんは「僕は、前回大きなミスはなかったけど、一点を見つめすぎ、周囲の安全確認ができていない!と言われた落とされました。」と言うので、急に私も不安になる。
若い兄ちゃんは今日もかなり厳しいことを言われたみたいで、「今日もダメかもしれない」と不安がっていた。
彼は徹夜の仕事明けだそうで、今日も午後から仕事だということだった。近々転職をめざして退職するそうで、そのために少しでも多くの資格・免許を取るつもりだと言っていた。
発表は仮免許の時と同様に、女性の担当者が控え室に来て口頭での発表だった。
普通車と二種の発表はずっと後で、その場には大型の二人と、AT限定解除の一人の計三人だった。
ドキドキしていると、
受験した人の氏名を読み上げ、その後「皆さん合格です。おめでとうございました。」と言われたので、私と若い兄ちゃんは顔を見合わせ、お互いにホッとした。後は、今後の手続きを11:30〜別室でするということだった。
気分良く手続きも終わり、教習の空き時間を待って、お世話になった先生に合格の報告と、お礼を言って帰ってきた。
7 最後に
12月下旬に申し込んでから、約二ヶ月半。充実した日々だったが、ちょっと長いので船舶免許の時よりもずっと重たい気がした。また、普段の教習時にもかなり緊張していたので、ワクワクドキドキを楽しむというよりは、少し重荷になっていたのも事実だ。
終了したばかりなので、しばらく休養したいし、暖かくなれば本来の趣味である釣りにも出掛けたい。また、4月からは本来の仕事が忙しいので、当分は次の免許チャレンジはないだろう。
だが、今の疲労感を忘れた頃、また次の免許にチャレンジする気になるのだと思う。
次にやるとしたら、まずは、6月に改正になる船舶免許で、5海里限定の解除をしたい。また、自動車関係ではけん引免許、大型二種もやってみたいとは思っている。
今回自動車学校に行ってみて分かったが、仕事の必要性よりも趣味で免許を取ったり(普通二種免許は別として)、私の様に漠然とした将来のために取ろうとしている人が少なからずいるのに驚いた。
そういう人たちと話をして、様々な免許や資格の話題で盛り上がるのも楽しいことだった。
←まだまだ空欄だらけ、免許オタへの道は厳しい!