海上釣り堀考察あれこれ

 海上釣り堀も、いろいろと通ってみると今まで知らなかったことが見えて来ました。それを、あれこれと紹介してみようと思います。


 釣れる釣り堀
  海上釣り堀は、網の中の魚を釣るわけですから、当然のごとく魚が多ければ釣れますし、少なければいくら工夫しても釣れません。
  たくさん釣るためには、放流量が多く、日々たくさん釣れている釣り堀に行くことがまず第一です。この釣り堀業界は、「良循環」と「悪循環」の二極で成り立っています。
  客が多ければ、放流量も増え魚も釣れる。魚が釣れるから客が増え、また放流量が増えて、ますます釣れるようになる。釣れない釣り堀は、その逆です。

  にぎわっている釣り堀をいかに探すかは、雑誌、ネットのHP等様々な情報を活用するのが第一です。
  休日にいつも満員の所は「良循環」の釣り堀と考えて良いでしょう。

 釣果報告のすべてが信用できるわけではない
  こまめに日々の釣果報告を、HPに乗せている釣り堀が最近増えて来ました。
  客も自分の釣果をHPで確認するので、数の水増し等はほとんど無いでしょう。ですから、データを信用してよいのですが、ちょっとした落とし穴もあります。

  それは、載ってない人がどれほどの釣果であったかが分からないことです。
  釣果報告は釣れた人のみのデータが掲載されているのですが、釣れなかった人の悲惨さ具合が分からないのです。本当にボーズなのか?数匹は釣れているのか?…
  ほんの数人の勝ち組だけを大々的に宣伝して、後の負け組はほとんど釣れないのではちょっと困ります。

  また、数や大きさは誤魔化してないにしろ、実際の魚の質が良くない所もあります。
  食べるのには支障はありませんが、目が潰れてしまった魚や、体の表面、鰭に大きな傷のある魚ばかりが釣れる釣り堀もあります。(他人にお土産であげる時は、ちょっと躊躇してしまいます。)

 釣り座による偏差
  釣り堀のイカダは、場所によって釣果が大きく違います。特に大イカダ(一辺が15M程度)では、青物さえも回ってこない場所があります。
  場所さえ良ければ、どんな釣り方、どんなエサでも魚は食ってきます。逆の場合は、仕掛けやエサをいろいろと工夫しても全くその効果が表れません。

  また、同じイカダの同じ位置でも、季節や天候、潮具合によっていつも同じとは限りません。そのパターンを見つけるのは至難の業ですが、同じ釣り堀に何度も通うことで少しずつパターンが分かってきますので、なるべく同じ釣り堀に通い、浮気をしないのが得策です。

  一般論ですが、潮通しの悪い場所に設置してあるイカダほど日による偏差が少なく、逆の場合は日による偏差が大きいと考えて良いでしょう。
  従って、湾の入り口に近い(沖合に設置された)釣り堀のイカダは、釣果の差が大きいと考えられます。爆釣する日と、貧果の日の差が激しいような気がします。

 場所の差(偏差)を克服するために  
  朝、イカダに乗った瞬間に、取った場所がその日の釣果をほぼ決定してしまいますが、それを克服する手がない訳ではありません。

  克服法その1
  カツオの一本釣り釣法
  朝一、または放流時などは、魚も活性が高いので、太いハリス+重いオモリで素早く仕掛けを沈め数を稼ぎます。名付けてカツオの一本釣り釣法です。もたもたせずに、強引に抜き上げるくらいに釣ることが大切です。
  周囲の人が2枚釣る間に、3〜4枚釣るつもりで臨みます。
  
  朝一、7号ハリス+活きアジにタイが入れ食い状態だった経験があります。

  克服法その2  
  堤防釣法
  魚の活性が落ちた後、いかに釣るかが次の勝負どころです。
  そのためには、食うか食わないか(居るか居ないか)分からない魚を、いかに諦めずに、しつこく狙うかが大切です。
  この時、釣り堀のイカダの中は、堤防釣りの魚と同じ条件になります。それは、魚がスレてしまってやすやすとは食いつかない点。また、自分の竿下に魚がいないかもしれない点で。(魚が大きいだけ、堤防よりはマシかもしれません。)
  そうした時、堤防では、一般的に軽いオモリ、細いハリス、更には誘いが重要なポイントになります。

  釣り堀でも同じです。イカダ竿や、負荷の小さいドングリ浮き等を使った方が釣果が伸びるのはこのためです。同じ仕掛けでじっと待っていてももう魚は食いついてはくれません。
  ただ、普通の人はなかなかアタリがないと、魚が釣れない、魚が居ないかも知れないとの思いから次の工夫を怠りがちです。諦めずに、貪欲にしつこく誘って狙い、工夫し続けることが釣果UPへの第一歩です。

  克服法その3
  エサ盗り利用釣法
  夏から秋にかけて、イカダの中には網目をかいくぐって小魚が入っています。水質の良い場所にある釣り堀ほどこの傾向は強いものです。
  通常は、このエサ盗りは邪魔なだけですが、うまく利用する方法もあります。それは、わざとエサ盗りが食いやすいエサを多用することです。エサ盗りの雑魚が刺し餌をつつけば、臭いが拡散しますし、なにより雑魚がエサを食う音を他の大型魚は聴いています。これが釣り堀という限定されたルールの中では、他にも優る集魚効果を発揮します。

  大型の魚が寄ってくれば、刺し餌が無傷で残ってきますので、そのサインを見逃さずに真剣にアタリを取り、釣り上げればいい訳です。
  イカダのチヌ釣りと同じですね。

 周囲をよく観察しよう
   釣れている時は、周囲を見る暇などありませんが(最近そういう機会はほとんどありませんが)、釣れない時は暇で周囲をじっくり観察する余裕があります。
   そういう時は、周りの人々がどんな仕掛、エサで、どんな釣り方をしているかよく観察しましょう。
   よく釣れている人のやり方、逆に釣れていないひとのやり方を。
   うまくいけば、釣れている人のパターンを真似して釣れることもありますし、その時はダメでも次回に活きることだってあります。
   謙虚にその釣り堀の常連さんの釣り方に学ぶのも釣果UPの方法です。

   また、釣れている人に直接エサや仕掛けやタナを聞くのもいいですが、親切な人でない限り、釣りの最中は迷惑がられますので要注意。
   聞くタイミングは終了間際のアタリがほとんどなくなってからです。常連さんの釣果を誉めつつ、それとなくコツを聞いてみると、いろいろと教えてくれます。その日には活きませんが、次回につながります。

           わざ
6 必殺タモ技
   釣り堀は魚を”釣る”ことを目的としていますが、釣れない時には、タモで魚をすくうのもありです。
   人によってはこれを軽蔑する人がありますが、ボーズのままお土産もなしに帰るよりは良いでしょう。

   特にヒラメなどはよく50cm〜1mくらいをフワフワと漂っていることが多く、ちょっとコツをつかめばかなりの確率でゲットできます。
   そのコツとは、急激に網を動かすことなく、魚の進路を予測して網を入れ、頭の方向のやや下からすくう方法です。魚は本能的に、下へ潜ろうとしますから、下からすくうのはかなり有効です。決して網を急激に入れたり、尾の方から狙ってはいけません。さすがに、ゆったりと泳いでいる魚も驚いて逃げてしまいます。

   その他、病気の魚はNGですが、青物に攻撃されて一時的に弱ってる小型のシマアジや、他人がバラシて弱って浮いてくるタイなど簡単にすくえます。
   水面に注目!

 結局は  
   極論かもしれませんが結局は釣り堀って、パチンコと同じだと思います。

   店全体の出玉量=イカダへの放流魚の数全体 と考えればよく解ります。
   
   総量が決まった中で、大アタリで終了台にする人と全くアタラずにスッてしまう人が、
   大釣りする人とボーズの人とに重なって見えてしまいます。(総量は決まっている訳ですから、店は決して損はしません。)

   フィーバー(爆釣?)の経験が忘れられずに、何度も通って結局収支は大損になってしまっている点も。

   はたまた、開店間もない店が客寄せのために赤字覚悟の出玉サービス(大量放流?)する点も。そして、固定客がつくとだんだん出玉を絞るのが、少しずつサービスを削っていく釣り堀(料金値上げ、保証なし、貸し竿有料化等々)と重なって見えます。

   釣り堀と言えども、爆釣は少なく、よく釣る人で年間の平均が7〜8匹/1回でしょうか?
   私などは、平均4〜5匹/1回程度です。


   魚をたくさん釣ってもとを取るには、少し厳しい状況です。
   スーパーで魚を1万円も買ったら、とても釣り堀では釣れないほどたくさん買えます。エサ代、交通費(時には宿泊代)、までも含めれば二十匹近くは買える計算になります。(今時、安売りの店では水槽内の活きダイ、活きヒラメが一匹1,000円ですから。)

   ですから、釣りが何よりも好き。ゴルフやスキーに行って、金だけ使ってお土産もないよりはマシ。
と考える人にしか勧められないものだと思います。
   私も、最近はそういう価値観が解る人しか誘わなくなってしまいました。

参考までに 2003年の釣果(釣行10回分)

タ  イ イサキ ツバス ワラサ カンパチ シマアジ ヒラメ 総合計
匹  数(合計)  48   1   1   2    1   2  1  56
一回あたり平均  4.8  0.1  0.1  0.2   0.1  0.2 0.1  5.6


   


出漁したことのある釣り堀
  ・鳥羽市  浦 村  はっかい
  ・南勢町  迫間浦 傳八屋
               はさま浦荘
               マリンパーク熊野灘
         礫 浦  辨屋
  ・南島町  奈屋浦 晃宝
         古和浦 ばん
  ・紀伊長島町    正徳丸

おまけ
魚の絞め方考察

   釣った魚を美味しく食べるために、上手に絞めて持ち帰ることが大切ですが、この魚の絞め方も、釣り堀によっていろいろあります。
   以下はそのパターンいろいろ(常連の方はどれがどの釣り堀かお分かりでしょう)
                  【 】内は私の評価

   ・全く絞めてくれなくて、自分でしめるしかない所
    【釣りに精通してない人はちょっと辛い(>_<)】
   ・包丁でただ絞めるだけで、海水で洗うには自分でわざわざ別の場所まで移動を強いられる所
    【ほとんど血は抜けず、自分で絞めた方がマシ!】
   ・イカダの上で絞めてくれるが、船で港へ移動するまでそのままの状態で、夏場など鮮度の落ちが気になる所
    【実際、港まで遠い場所だと、寄港後すぐに氷を入れても鮮度が良くない】   
   ・絞めた魚をポンプでくみ上げた海水で洗うものの、氷を入れる場所までちょっと移動が必要な所
    【移動中も氷で冷やしてくれるので、まずまず良好 (^_^) 】
   ・絞めた魚をポンプでくみ上げた海水の中で泳がせてくれる所
    【鮮度もよく、血抜きも完全。良好 (^_^) 】
   ・頭の後ろにチョンと一撃入れて、次に延髄を切断、更に海水をポンプでくみ上げて洗ってくれる。最後は、真水に触れないよう、魚の上に一枚ビニール敷いて氷を入れてくれる所
    【鮮度良し、食味良し、最良の絞め方 (^_^)v 】

   魚の絞め方にもいろいろあります。せっかく釣り上げても、最後が良くないと楽しさは半減してしまいます。
   
   また、終了前にスカリの中で魚が死にそうな(死んでしまった)場合は自分で絞めますが、放流に来た時に預かって港のクーラーに入れておいてくれる所や、イカダの上にクーラーが置いてあるというサービス満点の所もあります。
   そういうサービスの無い所は、自分のクーラーに氷を予めたくさん入れておいて、そこに保存するしかありません。
 

その他のサービス
   ・古和浦「ばん」では、昼食時にみそ汁と刺身が出ます(弁当注文にかかわらず)。とても美味で、これだけでも来た甲斐があると思えるくらいです。特に冬場は、体も温まって最高です。

        
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